豊かな響き

新年最初の練習は、メッツァカーポの「夢」で始まりました。
これから始まる一年が、悪夢とならないよう、願いを込めて練習開始です。

この曲で身につけるべきことは、トレモロの美しさです。
そして、ギターもその美しいトレモロで歌われている旋律に合ったタッチが必要です。
曲の最初の所。指揮者からは「バラバラのトレモロで!」という指示がありました。

「バラバラのトレモロ」・・・・メンバーのみなさんには、もうお馴染みの言葉。今までにも何度も要求されてきました。(できるかどうかは別として)
でも、よくわからない人のために、もう一度説明しましょう。

マンドリンの弦は、複弦です。同じ弦が2本ずつ4コースあります。
なぜ、2本なのでしょうか?

マンドリンは、リュート属の古楽器「マンドーラ」を母体にしてできた楽器だと言われています。「リュート」は、アラビア文化圏で用いられている「ウード」という楽器と同じ起源を持つもの。「ウード」は複弦です。「ギター」も、ルネッサンス、バロック時代までは複弦だったのです。その後、ベートーベンの時代には単弦になっているのですが、何故マンドリンは単弦にならなかったのでしょうか?
単弦の方が、弾きやすいし、楽器にかかるテンションも半分ですみます。楽器というのは、表面板を引っ張る力が減れば減るほど表面板が自由になるので、よく鳴るのです。それなのになぜ複弦なのか?複弦でなければいけない何かがあったのです。

考えられることは、弦が複弦になることで、響きに豊かさが増すということです。
2本の弦をちゃんと2本と認識して、弾いた時に2個音が出る、という意識を持って弾くと、往復(ダウンアップ)で4個音が出ます。単弦だとどう頑張っても2個ですから、そこでも響きの豊かさに差が出てきます。合奏の時に、わざとダウンアップの速度をみんなでそろえないようにバラバラにして、2人いれば往復で8個、3人いれば12個、というふうにやっていくと、人数が増えれば増えるほど粒子が細かくなるので、バキバキした表情から逃れられるのです。

合う方がいいと考える人もいて、合奏団によっては、トレモロの数までそろえる、という話を聞いたことがあります。また、その昔、マンドリンは2本の弦を1本のように、ダウンとアップが均一な音になるように、という指導を受けたこともありますが、せっかく豊かな響きが出せるような構造になっているのですから、それを利用しない手はありません。

指先に、「弦を2本弾いている」という感触を感じながら弾いてください。(口で言うのは簡単ですが、これは結構難しいです)
コツは、手首を柔らかくして、ピックを親指と人差し指の間にはさんで、しっかり持たないこと。
もちろんこれは、すべてこういう弾き方をして欲しいというわけではなくて、こういう響きが必要なときの弾き方です。誤解のないよう。

「バラバラのトレモロ」試してみてください。
マンドリン本来の豊かな響きを実現させてみましょう。
[PR]
by michinokuhitori | 2007-01-16 20:40
<< グリッサンド、ポルタメントの妙 演奏会ごっこ? >>