グリッサンド、ポルタメントの妙


メッツァカーポの「夢」
この曲には、グリッサンドとポルタメントがたくさん出てきます。
メッツァカーポという人は、このグリッサンドやポルタメントが結構好きな人のようで、他の作品にもよく見受けられます。ただし、中には装飾音符から実音へ斜線でつないで表記しているものがたくさんあって、テンポの速い曲などは、ピックで2弦にわたって演奏する場合もあるので、必ずしも全部が左手で滑らせるポルタメントとは言いがたいのですが、曲に合ったニュアンスを出すということを一番に考えたいと思います。

指揮者がスイスに留学中、師事していた先生はドイツ語圏のスイス人で、あまりポルタメントは好まなかったようです。滑らせることをあまり頻繁に入れると、くどくてだめだ、と言われたそうです。そういう発想がヨーロッパ人の中にもあるのですが、逆に滑らせるのがやたら好きな先生もいたそうです。音楽辞典を見ても、演奏者の自由にまかせる、というようなことを書いてあるし、個人様式のようなものがあるそうです。ただ、ポルタメントにも色々な表情があって、つける以上はちゃんとふさわしいニュアンスをつけなければいけないと、かなり厳しく指導されたそうです。

ポルタメントやグリッサンドの指示があるから滑らせる、ということではなく、音楽に合った一番良い表情でやっていくことが大切です。

5小節めから、さっそくセカンドに出てきます。これはメッァカーポの表記の仕方から、もしかしたらピックを2弦間で滑らせる奏法かもしれませんが、曲の表情をつけるためにはポルタメントのほうが合っています。5,6,7,8と4小節間ポルタメントが出てきますが、どれも表情が違わなければいけません。特に5小節目と7小節目は、意味合いが違ってきます。5小節目は柔らかさや甘さ、浮遊感を出します。全部のパートがファの音で始まり、ハーモニーがない状態から、セカンドだけが動いて、和音を決める作用のあるポルタメントです。セカンドの人は、3度音に移動する時にわくわくするような人間的に感情があふれるような感じで。
7小節目は、装飾音のミがメロディーのレとぶつかるので、緊張感が高まるところです。ハーモニー的にも重要な役割を担うので、滑らせることに意味があるのではなくて、最初のミの音が聞こえることに意味があります。ですから、こういうところはポルタメントでなく、2弦間に渡って弾いてもかまわないところです。ポルタメントで弾く場合、音がそれまでよりも離れて、弾く距離も遠くなるので、その距離感がそのまま緊張感につながります。
セカンドはこのポルタメントによって、曲に表情を与え、命を吹き込むという重要な役割を担っているのです。がんばって~!!
ファーストのグリッサンドもまた然り。かける以上は、必然性を持ったグリッサンドで。

「単純な素材かもしれませんが、いろんな表情がはいっている。多様性を統一性にすることが音楽です。
マンドラが2拍で休符になっている、そのあとにセカンドの重音の刻みが聞こえてきて、ギターの2分音符の甘い余韻がきこえる、、、そういう複合なんです。それで何かが生まれてくるのを期待する。それぞれのキャラクターをはっきり持って演奏していく。それがひとつの統一性を持つと音楽が雄弁になります。
もうひとつの正反対のやり方は、メロディと伴奏、というふうにやること。メロディーがきれいに歌えていれば、あとは勝手に伴奏がついてくればいい、というのは最もつまらなくて、すべての音楽をおとしめることになります。それぞれのパートがそれぞれの表情を持って一体となることでメロディーだけではない世界が生まれるのです。」と指揮者。

イタリア的な暖かさ、澄んだ空気、太陽、そして心地よいまどろみ・・・・そういう世界が音で描けると素敵ですね。
[PR]
by michinokuhitori | 2007-01-22 23:13
<< メンバー募集!! 豊かな響き >>