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夜の静寂の中に

「月ありき」は、イタリアの作曲家、U.D.マルティーノが書いたセレナーデです。
この曲は、1908年のイルプレットロ社主催の第1回マンドリン合奏コンクールで第1位になった曲です。
マルティーノに関する資料は少なく、生没年も未詳です。(詳しく知っている方がいらっしゃったらご教授ください。)

ロマン派以降の音楽は、夢、月、星、夜、愛、悲しみ、など、内面的な感情が描かれるようになりますが、特に「夜」は後期ロマン派からの重要な素材でした。ですから、こういう曲を演奏する時は、夜の雰囲気を作らないと演奏する必然性がなくなってしまうのです。
この「月ありき」も夜の雰囲気を醸し出すことが重要です。

ギターのイントロは、あまり健康的に弾かないで、静かに神秘的に上昇していきます。この上昇のアルペジオは意識を上に持って行きます。そしてそれを受けて1stのメロディーが、高いところからす~っと降りてくるのです。暗い夜の静寂の中に、透明な美しさを湛えた月の光。この情景をイメージして演奏してください。

7小節目からの2ndは少しためらいがちに、8小節4拍めからのマンドラはそれを押していきます。
16小節目からの1st,2ndの八分音符はスタッカートがついていますが、ピッキングにすると「ピンポ~ン」ときこえる(と、指揮者が言う)のでトレモロにします。作曲家の意図と違うかもしれませんが、ここは旋律ラインにしてしまいましょう。

29小節目からイ長調に転調して明るくなりますが、雰囲気はあまり変えないでいきます。
メロディーは民謡調(イタリア風)です。1stは浪々と歌いましょう。ここで田舎臭さを出しているのが2ndです。ここはハープのように美しく弾くのではなく、田舎くさく弾きましょう。(難しいですね(笑))
本人はかっこいいつもりなんだけど田舎くさいような感じ。

41小節目からのギターのアルペジオは2小節単位で意識して、粒が同じにならないように、後ろのほうを軽めに、弱くしてください。
40小節からの2ndは主役です。そして、49小節目で1stと2ndが一緒になって大きな流れを作ります。ここで聴衆の心をぐっとつかみましょう。(ここ以外つかむところがないので(笑))

84小節目からはどんどん静かな感じで。ギターの上昇のアルペジオはさっさと上がらないで、やっとの思いで上がっていくように弾きます。再び夜の静寂の中に消えていくように・・・・・。
by michinokuhitori | 2008-05-29 12:44
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