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「メヌエット Ⅰ Ⅱ 」、そろそろ仕上げの段階に入ってきました。
レコーディングの前に、確認事項です。 『デタシェ』 前回のメヌエットのところで、スラーがかかっていないところはデタシェで、と書きましたが、この、デタシェというのは、フランス語で「分離して」という意味で、バイオリンなどの弦楽器でよく使われる言葉です。音楽辞典には、スタッカートと同じ、と書かれていますが、いわゆるスタッカートとは少しニュアンスが違います。音を分断させて、音と音の間に隙間を作るのですが、音が自然に丸くなるようなニュアンスのイメージです。撥弦楽器だと消音のタイミングが難しいかもしれません。 特に、「メヌエットⅠ」の最後と、「メヌエットⅡ」の7小節目と最後の、全員で弾く四分音符は、隙間を作ることで安定します。呼吸が合えば、みんなで音と音の隙間を共有することができて、緊張感のあるきれいな空間ができます。この部分は決してつんのめらないように細心の注意を払ってください。全員が力を合わせて沈黙を作るというのはとても難しいのですが、その空間は何か意味のある、必然が感じられることが重要です。 以前、「スラヴ舞曲」のところで、休符も音楽、ということを書きましたが、音と音の空間もまた音楽です。 『アーティキュレーション』 「メヌエットⅡ」では、アーティキュレーションという、バロック時代に発達した表現技法を巧みに駆使しています。 4分音符3つの中で、1拍目2拍目にスラー、2拍目3拍目にスラーというパターンが、色々な組み合わせで出てきますが、ギターはスラーのついているところは、スラーの奏法(ハンマリング、プリングオフ等)で弾いてください。今までは、親指で両方弾いて変化をつけてもらっていましたが、表情をつけるのが難しいので。 マンドリンパートはトレモロで。スラーの最初の音はアクセント気味にふくらみを持って強調、後の音はしぼみます。ただし、ただアクセントをつけたりつけなかったり、という感じではなく、重力を感じてください。位置が上下するようなイメージを持って、やわらかく浮上する感じが必要です。雲の上を歩いているかのように、というのがメヌエットの極意なんだそうです。 そして、7小節目は全員でデタシェで。今までふわふわしていたものが、急にはっきりとした空気になります。2拍目3拍目は、メヌエットⅠ同様、隙間を作ってください。 『ヘミオレ』 「メヌエットⅠ」の6小節目はヘミオレにします。ヘミオレというのは以前スラヴ舞曲10番でも出てきましたが、3拍子の曲で、終止の前に2拍子2拍子2拍子という、大きい3拍子に変化することです。1stの装飾音符は8分音符にして、2,3拍目と同様スラーをかけます。1拍目の最初の音は少し長めにウエイトをかけて、軽いイネガルっぽく弾きます。こういう表情はなかなか難しいのですが、ヘミオレがいかに終止にアクセントを与えるかということを全員で感じられれば、と思います。 『ロンバルディア』 「メヌエットⅠ」~「メヌエットⅡ」と弾いて、また「メヌエットⅠ」に戻った時、繰り返しはしないで最後まで演奏しますが、最後から3小節前の、1st、ギターの8分音符を、戻ったときのみ、ロンバルディアリズムで弾きます。これは当時の流行みたいなもので、フランス様式ではよく使われる遊びだそうです。リズムが変われば、ムーブマンが変わる、ということで、演奏者に任された装飾だそうです。 ここでうまくいけば、もしかしたら、ロンバルディアリズムのところがもう少し増えるかもしれません。お楽しみに! ーお知らせー 9月8日に、レコーディングを予定していましたが、8月に、ねぷたやお盆でお休みされる方が多く、メンバーが揃った状態で練習できなかったので、10月に延期しようと思います。ご了承ください。 なお、レコーディングはしませんが、9月8日は予定通り、学院大のチャペルで練習します。午後5時から使用可能ですので、早めに行ける方は行って練習してください。来年5月の演奏会会場としての検討も兼ねた練習となりますので、できるだけ参加していただけるよう、お願いします。 ▲
by michinokuhitori
| 2007-08-30 01:06
今週は、コンミス帰省のため、ブログをお休みします。
8月11日の練習記録は来週まとめてお知らせします。 楽しみにしてくださっていた方ごめんなさい。(いないか?) 次回の練習は、8月19日、午前10時から、宮川交流センターです。 よろしくお願いします。 ▲
by michinokuhitori
| 2007-08-12 08:58
メヌエットⅠ(BWV1066/5)
この曲は基本的に2小節単位で進んでいきます。スラーのかかっていないところはデタシェで。ただし、デタシェといっても、色々な種類のデタシェがあります。完璧に途切れたものから、少しつながったような感じのもの。 跳躍進行の音は少し短く、順次進行の音は、デタシェの中でも間をあけないで、なめらかな感じで弾く、というふうに区別してください。 付点2分音符は優雅に。 この当時のバイオリンの弓は、バロック・ボウで、真ん中が膨らんでいます。ですから長い音を弾くときに、最初は弱めにはいって、中でわずかに中ふくらみをして、最後に弱くなります。音が生まれて、真ん中で成長して、そして死んでいく、という世界観。メッサ・ディ・ボーチェといいます。 バイオリンだと自然なのですが、マンドリンでは人工的につくらなければいけないので、やりすぎるといやらしくなってしまいます。追い立てるようなトレモロではなく、バラバラのトレモロでさらさらっと弾くのがコツです。 「Air」の時もそうでしたが、リピート記号の後のところは、劇的な感じで動きます。 1小節目、2小節目の、2ndとギターの対斜やマンドラとギターのトリトヌスが効いていて、強い緊張感が生まれます。そしてそこが劇的な感じになると、次の3小節目がとても物悲しい感じになります。自分ではどうすることもできない、神にゆだねるしかないような悲しみ・・・・(キリスト教的世界観?) その悲しみから救われるのが、後半の8小節です。2小節単位で上昇していって、明るくなっていき、最後の2小節は立ち直って、安定感のある健全な感じで終わります。 リピート記号をはさんで、2部形式のようになっていますが、意味的にはレトリックの3つの構成(8小節×3)でできているとも言えます。ここでも、「3」という数字があてはまるのです。(*ブログ 「きれいきたない?トリトヌス」 参照) メヌエットⅡ(BWV1066/6) Ⅱは、モティーフは単純で、アーティキュレーションで面白みを出します。3つの四分音符はスラーがかかっているところはトレモロでレガートに、ないところはピッキングでデタシェ。サウンドがとてもやわらかいので、静かな、優雅な感じを出してください。 スラーの後ろの音は弱めに。丁寧にレガートで弾いて下さい。ただし、2小節単位(大きくは4小節)で進んでいきますので、音が分断しないように気をつけましょう。 「アーティキュレーションがいかに音楽に雄弁な表情を与える手段になったか、ということを物語っています。試みにスラーを関係なくして、全部ピッキングでデタシェでやったら、全然違う音楽になります。マンドリンアンンサンブルでも、こういうサウンドができるんですよね。気を使うってことが音楽ってことでしょうかね。(笑)」という指揮者のお話。 確かに、気を使いながら音を出す、ということを私たちは忘れがちです。音にも、生まれてから死んでいくという世界観があるのですから、気を使った音の出し方を心がけたいと思います。 でも、日ごろの練習の成果が少しずつ出てきて、みなさん、気を使った音出しができるようになってきましたね。特に、「P」「PP」の音がとてもきれいに出せるようになってきました。細かい作業ではありますが、美しいサウンドを作るために、へこたれないでがんばりましょう。 ▲
by michinokuhitori
| 2007-08-01 20:00
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