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雑感  ~コンミスのひとりごと~


プリマヴェーラの初めてのコンサートが終わった。
より音楽的な演奏を、という思いで始まったこのアンサンブルだが、参加メンバーが「音楽的」という意味をどれくらい理解しているかわからないままのスタートだった。
個々の音楽経験の差は大きく、最初は戸惑うことが多かったかもしれない。それでも、わからないままに、手探りしながら懸命にみんなで進んできた2年半だった。

音を音楽に変えていくためには、満たさなければいけない条件があって、それは本当に細かく面倒な作業であるということをメンバーのみんなは感じたことと思う。適当に出していい音は一つもなく、細心の注意を払いながら音を出していくことの難しさ。今まで参加していた団体とのギャップの大きさは計り知れず、何人かの人は、理解できずに会を去っていった。
それでも、そういう細かい作業の末に生まれてくる音楽がどれほど美しく、心地よいものかということを、少しでもみんなが感じてくれれば、この研究会をやってきた意味があると思う。

本番の1週間前、メンバー全員がそろった。
その日の練習は1週間前ということもあったが、今までで一番みんなの気持ちが集中した練習になったと思う。何の曲の時だったか忘れたが、指揮者とみんなと音楽が一体になったように感じた時があって、私は演奏しながらとても幸せな気分に浸った瞬間があった。うまく言葉では言い表せないが、それは本当に体の奥から沸々と湧きあがってくるような、ふわっと涙が滲んでくるような幸福感だった。過去に何度か、マンドリンを弾きながら同じような感覚を味わったことがあるが、アンサンブルをしながらそういう気持ちになったのは初めてのことだった。「こういう感覚を味わいたくて私はアンサンブルをやっているのかもしれない」と思った。

本番直前にアクシデントがあり、それを対処するために奔走した私は、自分の調整もできず気持ちの余裕もないまま本番に突入。いつもにも増して緊張した。初めてのコンサートということで、メンバーのみんなもかなり緊張していたと思う。それでも、今まで時間をかけて取り組んできたということは大きく、それなりの成果が出せたことに感動した。なによりうれしかったのは、マンドリンをあまり好まない音楽の専門家の方々から、それなりの評価を得られたこと。「マンドリンでああいう演奏ができるんだね。」という言葉は大きな励みになった。

繊細な楽器と形容されるマンドリンだが、本当に繊細な音を出しているマンドリンアンサンブルを私は今まで聴いたことがない。小さい音と繊細な音とは違う。音を出しながら作る沈黙の世界など、音に大きい小さいという概念しかなければ作ることは不可能だ。私達の演奏はそれが出来ていたかと言われれば、まだまだ模索の段階ではある。でも、そういう世界を意識しながら近づく努力は出来ていたと思う。またマンドリン合奏の中ではほとんど打楽器化してしまうギターも、本来の音色を生かすことができて、プリマヴェーラならではのサウンドを作れたような気がする。

当然のことだが、やはり指揮者の力は偉大だと思った。演奏技術も音楽的素養も低い私達を、ああいう演奏が出来るまでに引き上げてくれたのは指揮者の教育のお陰。まさに、素人でも音楽ができる、ということを身をもって教えてくれた結果だと思う。
こういう経験を喜びと感じて、さらに求めていくのか、それとも、細かい作業は面倒で、もっと気楽に楽しみたいと思うのか、今回の演奏会を経験してみんなの感想は様々だと思う。

演奏会を一つ終えて、今後メンバー自身が何を求めていきたいのか、個々に問われる時が来ていると思う。
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by michinokuhitori | 2008-06-06 16:54