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押したり引いたり

トリオは第1メヌエットとはちがって、なめらかに流れるような旋律です。

ここでは、8分音符をトレモロしながら、2個ずつ、2個と4個、あるいは6個の8分音符を弾き分けていきます。できるだけ右手の動きを止めずに、レガートな音の曲線を作っていくことが求められるので、細かいコントロールが必要になります。そしてどのパートにもメロディが出てきます。
特に、22小節目からはマンドラ~1st~ギターとカノンのように追いかけます。ここはそれぞれの入りのところで、前の声部よりも大きくしていくことで、自然に高揚感が生まれます。こういう構造的高揚というのは、いわゆるクレッシェンドやデクレッシェンドという感情的なものは持ち込まないのです。そして、その後の部分で、構造的なものだけでは足りなくなって、感情的なクレッシェンドでアップしていきます。
構造的高揚と感情的高揚を区別することが大切で、何でも気持ちを入れて感情的にクレッシェンドしていくものではないということを知っておきましょう。

31小節目から、1stと2ndが2オクターブで重なります。1オクターブだと音に幅を与えてなおかつ溶け合うのですが、2オクターブになると、幅と同時に柔らかさや暖かさを感じさせる一方、下の音が上ずると気持ち悪い感じになります。特に太い弦はハイポジションにいくと音程が上がってきます。

「31小節目のミ♭の音は低めに、32小節目のミ♮は高めに取ってください」という指揮者からの指示。
マンドリンで、弾きながら音程を調整するということを実際にやっている人がいるかどうかわかりませんが、純粋な音の響きを作るためには必要なものだと思います。
とはいえ、なかなか難しい。高くするのは弦を押し上げればいいので比較的楽なのですが、低くするのは張りの強さもあって思うように下がらない。それも弾きながら一つの音だけねらうのですから、かなりの練習が必要です。
まあこれも一つの挑戦ですから、できる限り、弦を押したり引いたりしながら音程の調節を試みてみましょう。
「できないときは念力で!」という指揮者。^^; 
難しいですが、音程を調整しやすい運指を工夫することも必要だと思います。
ただし、やるならパート全員でやらなければ、不協和な響きになってしまいます。
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by michinokuhitori | 2009-11-11 22:09

跳躍と落下

モーツァルトの弦楽四重奏曲第16番変ホ長調(K.428)、第3楽章は、叩きつけるようなリズムを強調した第1メヌエットと、なめらかで抒情的なメロディーのトリオが対照的になっています。

第1メヌエットを演奏する時に、一番重要なのはアーティキュレーション。
スタッカート(点)やくさび(縦線)、8分音符と8分休符、2つの8分音符や4つの8分音符についたスラー、など、あらゆるピッキングの技術を駆使して弾き分けることが求められます。

「マンドリンでどこまで表現できるのか、ある種の挑戦ではありますが、もしうまくできればマンドリンアンサンブルで新しい響きの世界に入っていけるのではないでしょうか?」という指揮者。
厳しい挑戦ですが、できるだけ自然に聞こえるようにがんばってみたいと思います。

バロックのメヌエットは、1拍めから始まるものが多いのですが、古典の時代になってくると、モーツァルトやハイドンなど、3拍めのアウフタクトのあるメヌエットが出てきます。
この曲も、1stだけですが、アウフタクトで始まっています。冒頭に装飾音符がついているのですが、これは、上にあがる、という意味に読み取れます。シュライファーのように、すべるような感じではなく、ここは1オクターブ上がるので、跳躍型。上に飛び出すのです。そして落下する。
(みなさんおなじみの、アルシス↑・テシス↓です。)

メヌエットというのは跳躍ダンスではなく、重心移動を楽しむダンスなので、そういう意味ではこの曲はちょっと変わっていて、個性的なメヌエットです。メヌエットがやがてベートーベンの時代にスケルツォに変化していくのですが、この曲にはスケルツォに発展していきそうな諧謔的な要素があると言えます。
1stの装飾音符は思い切り上に飛びあがりましょう。そして、あがったら、ただ落として運動しない。そこにユーモラスな感じと雄大な感じを出そうとしています。

もし、装飾音符がなく、単音だったらどうなるか・・・・・
実験してみました。


なんともそっけなくて物足りない感じ。
(やっぱりモーツァルトってすごい!)

1小節目で、全パートが1stの落下を支えるのですが、ここではギターの「ソ」の音が重要です。主和音がくるけど、不安定な要素をギターが握っているのです。雄大だけど、何か動きがあるゾ、という感じをギターは出さなければいけません。(さあ、どうする!)
2小節目は少し緊張度が高くなります。飛び上がった時に、落ちるということを想定して飛び上がるのですが、次の音は少し高い所に落ちるので、落下地点を意識して落ちるのです。(これも難しい・・)


こういうことをみんなで考えながら音を出していくと、曲が生きてきますよね。
「フォルテだから大きな音で弾く」、というのとは全く次元の違う、別の音楽になると思います。(^^)v
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by michinokuhitori | 2009-11-09 15:26