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顧問の音楽帳

歴史の作り出す偶然のおもしろさ

今日はバルトークと並ぶ20世紀に活躍した作曲家ハンガリーの作曲家コダーイ
(1882-1967)の”ハーリ・ヤーノシュ”(テンシュテット指揮、ロンドンフィル)を
聴いていました。すばらしい演奏ですね。
この指揮者はがんのため、まだまだこれからという時に亡くなったのが大変残念です。

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(Klaus Tennstedt The Great EMI Recordings CD No.13)

しかしこの曲、あれっ?どこかで聴いたメロディだなと途中で感じ始めました。
特に終曲など、ヤナーチェク(1854-1928)の”シンフォニエッタ”の中に出てくる
舞曲風のメロディとソツクリでビツクリ。
(ちなみにシンフォニエッタは村上春樹が小説1Q84で取り上げて、一躍注目を
 浴びたようですね。まだ読んでませんが。)
こちらの曲の舞台がブルノというモラヴィア地方(現チェコ)の中心地。
そういえば、昔モラヴィアはハンガリー帝国に支配されていたんですよね。

コダーイがハンガリーを中心に民族音楽の収集を精力的にしていたことは有名で、
恐らくそのときにモラヴィアに残る民族音楽も集めたんではないでしょうか?
一方、ヤナーチェクも自国モラヴィアの伝統音楽を研究し、作品に生かしてていた
ようですから、その辺りに接点があるのかもしれません。

二人の間に交流があったかどうかは定かではありませんが、歴史があやなす
おもしろさを感じます。
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by michinokuhitori | 2012-03-27 21:30 | 音楽

顧問の音楽帳

危 惧

あれから早いもので4年が経ったんですね。
なにがって、プリマヴェーラのチャペルコンサートです。

そのときに作ったのがこのCD
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(マンドリンアンサンプル研究会プリマヴェーラ チャペルコンサート 2008)

おかげさまでこのCDも500枚作ったのですが、おおかた捌けました。
私も顧問として(マンドリンを演奏しないので(^_^;))、そのジャケットに以下の文を
寄せさせてもらいました。

今読み直しても、そのときの思いは変わっていません。

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プリマヴェ-ラのCDに寄せて

クラシックにおいて近年めざましいのは古楽アンサンブルの隆盛である。
とにかく古楽器でバロック音楽を演奏すればよかった時期を経て、
今ではそこで培われた新たな解釈・奏法をそれ以降の楽曲に当てはめて、
クラシック界に鮮烈な息吹を吹き込んでいる。古楽演奏の旗手、アーノンクールや
ノリントンらがモダン楽器のオーケストラの指揮に引っ張りたこなのが、
それを如実に示している。絵画・彫刻などと違って音楽は再生芸術であり、
演奏というプロセスを経て我々に提供される。そのため演奏者にその音楽の
生死が委ねられているといっても過言ではない。

では、マンドリン演奏の現状はどうだろうか?
その回答はここでは差し控えるとして、そもそもプリマヴェーラという団体は、
マンドリン演奏という括弧で括ることなく、演奏の基本であるアンサンブル本来の
姿に立ち返り、各楽器の個性を引き出しつつ、全体の調和を動的に取る事を
目標に練習を重ねてきた。指揮の野村氏の注力は無論そこにあった事は想像に
難くない。

もちろん実際の演奏は理想にはまだまだ遠く、個々の演奏技術の向上も望まれるが、
なにより今回のチャペルコンサートは、多くの暇癖にもかかわらず、 その目指す方向が
間違っていなかった事を雄弁に語っていると思う。これまでのマンドリン演奏には
なかった新しい息吹が感じられるというのは言い過ぎだろうか?
その判断はこのCDを聞かれる方々に委ねたいと思う。

(2008.10.4)

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残念ながらマンドリン界はその当時と少しも変わっていないようです。
オーケストラの基本はアンサンブルであるというのは、音楽の世界では常識だと思って
いたのですが、ここではそうではありません。
人気のあるいくつかのマンドリンオーケストラが演奏をYoutubeなどに載せて
いますが、確かに一人一人の技量は高いものの、各人が格闘技の如く最大音量で
かき鳴らしているとしか聞こえず、アンサンブルの本質とは遠いところにあるように感じます。
まるで体育会系の部活の乗りです。

大相撲が、その閉じた世界において、伝統という名に隠れ、それ以外の世界では
とうてい通用しない価値観を固守して来たがために、それがいつの間にか変性し、
ついにはその世界が内部から崩壊しかねない状況に陥っています。

願わくば、マンドリン界がその轍を踏むことのないように願うばかりです。
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by michinokuhitori | 2012-03-03 22:08