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3拍子の弾き方

「悲しきワルツ」の中に出てくる、伴奏パートの3拍子の演奏の仕方には、3つのパターンがあります。

1つめは、冒頭の部分の、限りなく溜息のモティーフ。2拍めをテヌート気味に(トレモロで)3拍目は抜きます。

2つめはEからの部分。2拍め少し弾んで、3拍目は軽く。

3つめはHからの部分。2拍めを鋭く飛ばして、音の立ち上がりをはっきりさせます。ヨーロッパの言語は鋭くて激しいアクセントの言語がたくさんありますが、そんな感じで思い切りはじけてください。

この3種類は技術的に弾き分けて練習することが必要です。まずは違いを意識しながら練習してみましょう。

2ndパートは、Hからのピチカートを、親指で弾きます。(Hに入る前の1小節間で、ピックを中指と人差し指に挟み変え、そのままの状態で親指で弾きます。)
右親指は腹を弦に当て、しっかりと圧力をかけてはじきます。
左指は、フレットの真上を押さえてください。(ブログの「ピチカート」のところを参照。おまけの奏法です。)
そして、Kに入ったⅠ拍めの休符のところで、すばやくピックを親指と人差し指に挟み変えて、Kからは普通にピックで弾きます。(厳密にいえば、Kの1小節前の3拍めを弾く動作が、挟み込みの始めの動作になるので、2拍間での挟み変えです)

・・・・口で言うのは簡単ですが、これは結構難しいですね。練習が必要だと思います。

2ndの皆さん、地味に難しいですが、めげずにがんばってください。
# by michinokuhitori | 2009-06-12 22:04

芸術の「内」と「外」

意識が、あるラインから「外に出ていく」ことと「内に入っていく」作用というのが、芸術にはあります。

この悲しきワルツの冒頭の部分は、ギターの符点2分音符だけが2小節続きます。聞いている人は、ギターの音だけが心の中心になるので、ギターの音は「内側」の音になります。

次に3小節目から、2ndとマンドラが加わります。ギターの音はそのまま鳴っていますが、音が動きません。それに対して、セカンドの音は高い音で動きます。聞いている人は高い方のセカンドの音を聞き始めるのです。そうすると、それまで「内側」だったギターの音が「外側」になり、新しく鳴り始めた2ndの音が「内側」になります。

次に、Aから1stが入ってきます。初めて長い持続音が来て、聞いている人は今度は1stの音を聞きます。そうすると、今度は1stが「内側」で2ndが「外側」となるのです。でも、ここの2ndの動きはとても重要で、それをずっと聞いていてもかまわないのです。そうなると、その人にとっては、1stが主旋律といえども、「外側」に響く素材になり、2ndが「内側」です。

そして、これは強制されるものではなく、あくまでも聞いている人が自由に出入りできるものです。

こういう内と外の問題というのが、芸術では重要で、それがないとただの音の遊びになってしまいます。特にポリフォニーは、こういう要素がとても大きいのです。

メロディーと伴奏、というように、境界線がはっきりしていると、聞き分けるのは楽ですが、「主旋律らしく」、「伴奏らしく」と色分けしてしまうと、奥行きがなくなるし、神秘性を失わせてしまうことになります。
聞いている人の意識が、自由に内側にいったり外側にいったりして、うつろう感じ。これがこの曲の最初のテーマの重要な要素なので、冒頭からBまでの部分は、全パート同質な響き、それも色彩感のないモノクロな感じで演奏したいところです。
# by michinokuhitori | 2009-06-12 21:44

ピチカート

「悲しきワルツ」の冒頭部分は、全パートピチカートです。

ピチカートには大きく3つの弾き方があります。

1.駒に軽く触れたまま、タッチして弾く。
2.弾いた直後に触れている手を浮かせる。
  (アタックの瞬間だけくもった響きで、そのあと音が残ります)
3.普通に弾いて、直後に左手ですばやく弦に触れる。

もうひとつおまけ・・・
  左手で、フレットの真上を押さえる。(音をくもらせて、右手は普通に弾く)
   ↓
  これは、右手が忙しい時に使える。

~マンドリンの場合は、さらに、右手と左手の指で弾く、という奏法があります。
この曲では、ピチカートの後すぐにトレモロになるので、右手の指を使うとピックの持ち替えが困難、左手だとコントロールが難しいので、精緻な演奏が困難です。~


曲に合わせてピチカートの奏法を選びます。
今回は、2、を採用。
1~3に名前を付けておくといいかもしれませんね。(わかりやすい名前、募集しています。)

「1小節目はpp 2小節目は少し大きく、3小節目がピーク 4小節目で少し小さく、5小節目でpp という遠近感を、ピチカートの中で、微妙なレベルで響きを作るのです。
ピチカートした!ということで満足するのではなくて、そこからのコントロールなのですよ!」という指揮者。
またまたマニアックな練習が必要ですね。

今のところ、冒頭部分のテンポは、88~92あたりの予定です。
オーケストラでは、“con sord.”(弱音器をつけて)という指示があります。そのサウンドを模倣するわけではありませんが、シベリウスが“弱音器をつけて弾かせる”ということに託した意味を捉えないといけないので、冒頭の響きが大事になってきます。

7小節目からトレモロに入ったら、できるだけ粒子を細かく、ハイビジョンで。
音の立ち上げ方に細心の注意を払って、音がアップしていく時の質を同じにします。
人工的に数が増えるようなトレモロの弾き方だと、音に気合いが感じられてしまうので、ここは気合も殺気もなく、うつろな感じが出せるようなトレモロが必要です。
こういう表情はマンドリンではとても難しい表現だと思いますが、できるだけ、けだるい感じの音が出せるといいですね。

この部分は、2ndの上のパートが主役で、曲全体の表情を担っていきます。
かなり神経を使うところなので、弾きながら2ndのメンバー曰く
「死にそうなんですけど・・・・^^;」(テーマは「死」ですけど、演奏者は死なないでね。)

普通は、ため息のモティーフというのは、バロック時代からたくさんあって、私たちにもおなじみなのですが、ここではそういうものではなく、もっと想像を絶するようなおかしな世界、不気味な世界を表しています。
現実の日常ではあまりあってほしくないような、そばにいてほしくないような感じ・・・・・・・
そういうイメージを持って、冒頭部分の響きを作っていきたいと思います。
# by michinokuhitori | 2009-03-18 23:09

悲しきワルツ

グリーグの「愛の詩」と「春」に挑戦して、北欧の音楽が結構マンドリンに合うということを発見し、北欧シリーズ第3弾として、シベリウスの「悲しきワルツ」に取り組むことになりました。

シベリウス(1865~1957)の悲しきワルツは、1903年に劇音楽「死(クオレマ)」の第1曲として作曲され、1904年に「悲しきワルツ」として改訂されました。単独でも演奏されますが、アンコール曲としてよく演奏される曲です。

この「クオレマ」という劇の内容は

~劇の始まりで、病める女がベッドに眠っているが、彼女のベッドのそばに幼い息子のパーヴァリが座っている。母は夢の中で踊り子たちを見ている。踊り手たちは部屋いっぱいに広がって、病気の母といっしょに 踊り、彼女は疲れ果てる。そして演奏もまた終わる。踊り手たちが部屋から出ていくと母は目を覚まして再び踊り始め、音楽が新たな勢いで再び始まり、部屋はもう一度踊り子たちでいっぱいになる。音楽は死が扉を3度叩くと止まる。この瞬間に踊り子たちの姿は消え、死は母の死んだ夫の姿でやってきて、母を連れ去ろうとする。~ (日本楽譜出版社 大束省三氏の解説より)

悲しきワルツというタイトルからは、叙情的な感じを受けますが、この劇の内容をみてもわかるように、「死」がテーマの曲です。神秘的な感じ、不気味な感じ、狂ったような感じを、どれくらい演奏できるかがこの曲の重要なところです。

最初の部分は、一番神経を使うところで、かなり音の出し方のコントロールが必要です。
まず、響きがはっきりしない、ということが大事です。音の立ち上がりのコントロールを意識します。
特に重要なのが、2ndの上のパートです。力のない青白い音、病的な感じの音で、溜息のモティーフです。
Aからは2ndと同質の音で1stのメロディーが出てきます。
いつものワルツの場合だと、伴奏の音とメロディーラインは、弾ませたり、際立たせたりして対比を作ったりしますが、ここは同質の音で弾きます。その響きの中で、長いメロディーが出てきても、2ndはずっと主導権を握りながら彷徨うように揺れていきます。

2ndの下のパートは同じ音が2つ続きますが、溜息のモティーフは同じです。手首の動きと腕の動きをうまく分業させて、絶妙のコントロールをよろしくお願いします。

この曲が要求してくる響きを出すことによって、マンドリンの新しい音色が引き出されるかもしれませんね。
# by michinokuhitori | 2009-03-18 00:51

「ピッキング」と「トレモロ」


マンドリンで合奏をする時に、よく、ピッキングで弾くか、トレモロで弾くかということが問題になります。長い音符の時はさほど話題にならないのですが、8分音符や16分音符などが並んでいて、上にスラーがかかっている時など、どちらで弾いたらいいのか迷うことがあります。
特に同じパートが複数人数いる時は打ち合わせをする必要があります。

でも、マンドリン合奏の場合、どちらで弾くか、という奏法だけの問題として捉えがちで、その曲が求めているサウンドを意識した上でのピッキングかトレモロか、というところまで踏み込んでいないというのが一般的のような気がします。また、スラーがかかっているからトレモロ、スタッカートがついているからピッキング、という決め方を普通にしているようにも思われます。

ある団体で、練習していた時のこと、
「そこの音、ウチね。」と言われ、「?????」
でも、周りの人たちは納得している様子。
しばらく観察するうちに、ウチ=打ち=ピッキングだということがわかりました。
(なんて非音楽的な表現なんだ・・・)とその時は思ったのですが、人間慣れるもので、そのうち「そこはウチね。」と言われて、普通に「はい。」と答えている自分がいるのでした。

ピッキング=打ち・・・言葉からくるイメージでは、ピックをばちのように弦に叩き込むという印象があります。それ以上のイメージが膨らまないのですが、実際はピッキングの種類は一つではなく、実にたくさんのニュアンスを出せる奏法であるということは、プリマヴェーラの皆さんならおわかりですよね。


先日の練習で、アイネクライネのロマンスを弾いていた時のこと。

トリオから、セカンドとマンドラの8分音符のきれいな帯がでてきます。
(セカンドは、ファレファレファレ、マンドラは、レラレラレラで始まるところです。)
ここで難しいのは、6つの音にスラーがかかっていることです。バロックのように2個でアーティキュレーションがつけられていたら、ピッキングでもいいのですが、この時代になってくるとアーティキュレーションで細かく単語のように発音するイディオムではなくなってきます。全体の流れの中で響きができてくるので、そのあたりの表現が難しいところです。

指揮者が、「ここはトレモロとピッキングとどちらが楽ですか?」と聞くと、
メンバーがすかさず、「そりゃ、ピッキングの方が断然弾きやすいです!」と答えました。

指揮者は、「ここは滑らかな感じで揺れを作ることが大切です。ピッキングでやったときに、デコボコした感じはうまく表現できるけど、滑らかさには欠ける恐れがあります。そっちの方に力点を置くとトレモロの方がやりやすいかなぁと思いますが・・・・どっちがいいんでしょうね。」

メンバー:「がんばります!!!」

~ピッキングで弾いてみました。

指揮者:「ここは揺れてください。口で歌うと、“ティカティカ”とか“ティヤティヤ”という感じではなくて、“レロレロ”とか“ラリラリ”という感じ。タイミングもドンピシャで合わせてください。」

メンバー:「やってみたら、ピッキングの方が断然難しかった・・・^^;」

指揮者:「ピッキングの場合、コントロールをうまくやらないと弾んでしまいます。特に低い方を強く弾かないように。超レガートで。そして、そのマニアックな刻みに喜びや生きがいを感じてください。(笑)

なんとも難しい注文。

こういうピッキングは、手首だけでやろうとすると、支点の決まったワイパー状のヒンジ運動になるので、どうしてもカタカタとした感じで聞こえてしまいます。(どんなに気を使って気持ちをこめて弾いても、出てくる音は滑らかにはなりません)
腕も使って、回転運動を入れることが必要です。そしてそのためにはピックの持ち方も重要になってきます。(口で言うのは簡単ですが・・・・)

マンドリンを弾いている人の多くが、ピッキングよりトレモロの方が難しいと言われますが、本当はピッキングの方がずっと難しいのです。
みんなでがんばってピッキングを極めてみましょう。
きっとマンドリンの音楽的表現が広がっていくと思いますよ。
# by michinokuhitori | 2009-02-06 00:16